江差追分本唄のうたい方( 基本譜による解説)
これは、江差追分会師匠会承認の基本譜を解説したものです。
従って、基本的なうたい方であって、江差追分本来の味や情緒の部分は表現するに至っておりません。
江差追分の前唄や後唄は、とくに節(フシ)の規制はしませんが、本唄を唄う場合には、八つの譜(節)も約束事項を会得することが大切です。
【解 説】-七節(セツ)までの声の高さや調子をきめる大切な基礎をなす節(フシ)である。
【唄い方】-ソイの調子にあわせ『カモー』と下から上に向かって素早く入り、ほんの少し間をおいて『メ』に入る。
【解 説】-追分の「節目」をなす重要なものであり、唄全体の流れを引き締めるとともに「止め」までの息を続かせる役目を果たす節である。
【唄い方】-下から上に『エッ』と弾むように発声する。(例えばシャクリをするような感じで声をはね上げる。
【唄い方】-『メ』から即『エッ』とせつどをはね、腹に力を入れて声を前に出す。(波のうねりの如くのす)そして、寄せ来る波が引く感じを出しながらせつどに入る。※のす=押すように声を出す。
【解 説】-全体の声調を保ち、唄の「優しさ」を表す節である。
【唄い方】-「引き声」で入り、喉の力を緩めながら『エェ』『エェ』『エェ』と三つもんで、四つ目の音(すくりに入る前の『エー』)を引き声を使って引き上げながら、間をもって「すくり」に入る。
【解 説】-唄全体の「要」である 。
【唄い方】-間をもって引き上げられてきた『エー』をそのまま上に向けて『エェッ』と反転させ「のし」ながら引き声に入る。
【解 説】-「せつど」と同様に追分の「節目」をなす重要な節である。
【唄い方】-引き上げられた『エェッ』を瞬時に弾ませながら「二声上げ」に入る。
【解 説】-「本すくり」に似ているが、低い方へ導くための節である 。
【唄い方】-間をもって引き上げられてきた『オー』を『オォッ』と声を下げ、反転させ「のし」ながら引き声に入る。
【唄い方】-「止め」に入る前の「二声」の二つ目の「もみ」を心もち上げながら「止め」に入る。「止め」は残された息を腹に力を入れて『オォ』『オォ』『オォ』『オォ』と四つではっきり止める。